高木渉 / Wataru Takaki
メンズ服のスペシャリスト、敏腕バイヤー服飾職人として修行したのち、有名テーラーの販売員として全国売上No.1の実績を持つ。その後スーパーバイザー・マーチャンダイザー・バイヤーをも努め上げる。現在は「現場での販売」という原点に戻るため独立し、経営者として活躍中。
ハナ / Wataru Takaki
ファッションアドバイザー/元メンズブランド販売員有名テーラーでの販売員を経験。その経験を生かし、多くのブランドを徹底比較し、各商品の良さを発信している。トレンドや、女性から見た「男性のかっこよさ」も交えてお伝えしていきます。
タキシードスタイルの写真や雑誌で、上の写真のような黒いボタンを見たことはありませんか?この黒いボタンをスタッドボタンといいます。
今回はタキシードには欠かせない、このスタッドボタンについてお話いたします。
スタッドボタンとは?
スタッドボタンはシャツに元々付いている釦ではなく、専用のシャツにスタッドボタンを付けています。下の写真のように、本来タキシード用フォーマルシャツには第二釦から第五釦までの釦が付いていません。(第二釦から第四釦までのシャツもあります)
タキシード専用のシャツは、菊穴といってスタッドボタンを付ける為の穴が開いています。この菊穴を通してスタッドボタンを付けます。スタッドボタンは釦の代用なのです。
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タキシードフォーマルシャツ 菊穴拡大図
画像出典:http://blog.tomoshiki.com
スタッドボタンの歴史
通常のシャツには最初から釦が付いていますよね。上質なオーダーメイドシャツには白蝶貝などの天然素材の釦が付いています。なぜタキシードのシャツにはこの様な釦ではなく、スタッドボタンを付けるようになったのでしょうか?
それは、19世紀まで歴史をさかのぼってみるとよく分かります。
前回の「タキシードに付けるカフスのルール」でもお伝えしましたが、その昔シャツは下着だったのです。下着を見せることは美しくない…ということでベストを着用したりして下着が露出しないようにしていたのです。しかし、どんなに重ね着しても下着の釦が見えてしまうので、スタッッドボタン付けて下着の釦を隠したそうです。(昔の貴族は宝石を用いていたようです)
これが、スタッドボタンを付けるようになった理由と言われています。
引用:https://libmma.contentdm.oclc.org/
スタッドボタン選びのルール
実はこのスタッドボタン、石の種類にもルールがあり、きちんと決まっているのです。
それは、オニキスという天然石です。それに合わせて、カフスも同様にオニキスのものにするのが通常です。
スタッドとカフスは同じデザインのものがベストですね。
タキシードにはスタッドボタンをただ付ければ良い…というようにならないように十分に気を付けて下さい。
画像引用:https://www.amazon.co.jp/
スタッドボタンを付けるシャツのルール
ルールというよりも、通常のビジネスシャツにはスタッドボタンを付けることができません。そのため専用のシャツを用意する必要があります。
正式なタキシード用のシャツは菊穴があるタイプですが、現在は釦も釦ホールも開いていて、釦でもスタッドボタンを付けても着用できるシャツが多く販売されています。
個人的には、フォーマルシャツはフォーマル用としてきちんと分けた方が良いと思いますが、年に1度も着用しないのでしたら、兼用できるシャツの方が機能的で良いですね。
ただ、この様なシャツは正式なフォーマル用のシャツとは多少デザインが異なり、カジュアルな印象がある場合もありますので、良く知った上で着用しましょう。
プレゼントにもおすすめなブランド
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自分用やプレゼントにも最適で、カフスボタンやネクタイピンも展開中です。
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オーダースーツ最大手の麻布テーラーではドレスアクセサリーも種類豊富。
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店舗ではスタッドボタン単体での購入のほか、厳選されたネクタイ、カフス、ハンカチなどもセットでの購入が可能で、名入れすることもできます。
なにより、実店舗ではスーツのプロに相談できるのが安心ですね。
まとめ
今回はネットでも詳しい情報が少ないスタッドボタンについてお話しました。
現在は、比較的カジュアルな結婚式やパーティーが主流になりつつありますね。カジュアルな場ですと、カチカチなフォーマルスタイルは場に適さない場合もあります。そんな時、正式なフォーマルスタイルの知識があると、ポイントを押さえつつ綺麗に外したスタイルが出来ます。
ネット社会の現代ですが、ネットでは間違った情報も多くあります。信用できる場所で正確な情報を得て、素敵な装いをして下さいね。